【東高根遺跡】弥生時代後期~古墳時代後期の集落が埋蔵 森林公園として整備【古代植物園】

2023年1月31日火曜日

関東の遺跡

神奈川県川崎市宮前区の、東名高速道路沿いにある広大な公園「東高根森林公園」には、
「東高根遺跡」が埋蔵されています。
写真は全て2022年4月下旬時点での現地の様子。
園内への入口はいくつかありますが、私は東名沿いの広場から。
なので、「古代植物園」までスグ。
やはり遺跡がある場所だから、古代植物園を設けたのかしら?

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「建物に用いた植物」
最初の建物は竪穴住居。
竪穴住居とともに掘立柱の建物が出現するのは弥生時代以降。材料はスギ・マツ・ヒノキ・モミ・ケヤキ・ツガなど。
本格的な木造建築は、仏教建築が伝わった6世紀以降。寺院や宮殿などの材料には、精密な木肌と曲がりの少ない特製のあるヒノキ・コウヤマキが主。・・・・・・とのこと。

・・・て、ココは神奈川県川崎治水事務所が管理されてるのネ。

植物の横に、
その植物が含まれる歌の案内板があったり。
コチラはシダレヤナギで、万葉集の土氏百村の歌。
シダレヤナギ(ヤナギ科 別名イトヤナギ)は、
川べや並木などによく植えられていて、
オバケの話やカエル飛びつく小野道風の話などで親しまれているとのこと。


「薬に用いた植物」の案内板
呪術をもって病気に立ちむかっていた時代から、薬を呪術のかたわら積極的に使い出したのは、隋・唐から医学の知識が伝わり薬草に対する知識が進むようになってから。
日本各地から薬草を朝廷に献上した記録が「延喜式」(927年成立)にアリ。このうち、現在も生薬(そのまま、もしくは乾燥するか、あるいは簡単な加工をしたもの)として生産あるいは輸入されている主なものは、キキョウ・クララ・クコ・オケラ・キハダ・シャクヤク・ジャノヒゲ・アミガサユリなど。

・・・・・・へえ~!


「シャクヤク」・・・の一画のハズ。
現地へ行ったときは、薬草園はそこそこうっそうとしていたので、
本当にその薬草がそこにあるのか、わかりにくかった(;'∀')
薬草園っていうのはそういうものなのかもしれませんが(草だもんネ)。

コチラはホントに「サネガズラ」っぽいよね。
ミニ藤棚みたいで面白い。
モクレン科。花は8月。
生薬名:ナンゴミシ
薬用部分:果実
薬用:滋養、強壮、咳どめ

「染料に用いた植物」
日本の染色は、7世紀頃から始まる衣冠制度にともなって技術が発達。
「延喜式」には、古代に36色も染色があった記録アリ。必要な染色用植物は、各種ののものが栽培・採取された。
主なものをあげると、
赤系統…アカネ・ベニバナ
黄系統…カリヤス・ヤマハゼ・キハダ
青系統…アイ・ヤマアイ
紫系統…ムラサキ(紫染には、サワフタギ・ツバキ・ヒサカキの灰汁を媒染剤として使用)
茶・黒系統…ハンノギ・ナツメ・クヌギ・キハダ

コチラにしげっているのは「ヤマアイ」っぽいネ。
トウダイグサ科。花は3~4月。


「衣料に用いた植物」
日本での織物の始まりは、縄文晩期~弥生前期とされています。
使用された繊維は、植物繊維として、フジ・コウゾ・カジノキ・クズ・シナノキなどの樹皮、ついで、アサ・カラムシなどの草皮だったようです。
動物繊維としての絹も麻と並行的に使用されましたが、小規模な桑樹栽培と養蚕に頼らざるを得ず、未熟なものだったと考えられる。
なお、木綿の使用は、15世紀以降で、古代には使われていなかった。




古代芝生広場側からの薬草園入口
薬草園には、食料・衣料・染料・建物・薬・木製品・親しまれた植物の7つの部門に区分し、代表的な植物を植栽しているとのこと。
・・・「親しまれた植物」があるあたりは、今回歩いてません。

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ということで、東高根遺跡がある古墳芝生広場へ。

「東高根遺跡」
古墳芝生広場には弥生時代後期(3世紀頃)~古墳時代後期(6世紀頃)に営まれた集落が埋蔵されています。昭和43~44年の住宅地開発によって発見。昭和44~45年の調査で、約60軒の竪穴住居跡を確認。広場全域では約100~150軒の竪穴住居跡があると推定されます。
神奈川県は遺跡と周辺のシラカシ林を保護するため、昭和46年12月21日、東高根遺跡を
神奈川県指定遺跡に、東高根のシラカシ林を県指定天然記念物に指定。

弥生時代の人々は、この台地(古代芝生広場)に竪穴住居を構え、集落を形成。周囲の谷(湿生植物園付近)では湧水を利用して稲を栽培、台地の周辺に広がるシラカシ林では農業に必要な鋤、鍬の柄や木製品の材料の採集、あるいはどんぐりなど食料となる木の実の採集が行われていたと考えられます。

・・・・・・とのこと。

「弥生時代の土地利用(想像図)」
弥生時代の遺跡からはドングリやシイノミがたくさんつまった貯蔵穴が発見。
水田の周辺では、現在でも食べ物になるセリ、ナズナ、オオバコ、ノビルなども見ることができます。

「ふるさとの森・シラカシ林」
関東地方の沖積台地で適湿の土壌が厚く堆積した上にむかしから生育する常緑広葉樹林。県下でも珍しい自然林に近い形で残されています。

古代芝生広場はめっちゃすがすかしい。
とてもきれいに維持管理されてる印象。

広場にぽつんとおっきな木・・・が、とても印象的☆彡

周囲のシラカシ林。緑が美しい☆o。..:* ☆.。

古代芝生広場からシラカシ林の散策路へ入れマス。
林の中にはとっても立派なボードウォークが☆彡
とても高低差があるエリアですが、歩きやすくなってマス。

弥生時代の人々が木材や木の実を採取していたと考えられる林はココなンですネ・・・☆

下のほうにあるボードウォークがチラリしてるの、わかりますでしょうか?
(高低差が伝わるかもな風景)

だいぶ下りてきたところ。さきほど歩いてきたボードウォークが高い所に見えてマス。

「湿生植物園」まで来ました。
弥生時代の人々は、このあたりの谷で、湧水を利用して稲を栽培していたと考えられている・・・ということでしたよネ。


稲作の再現をしている稲作田ゾーン

東高根森林公園はまだまだ広い。
のんびりと散策したり、ピクニックしたりするのによさげな、美しい公園です。

【神奈川県立東高根森林公園】
所在地 神奈川県川崎市宮前区神木本町2丁目10−1
(バス停「森林公園前」から徒歩3分)

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